2020年9月公開映画「人数の町」、主演は中村倫也さん。ユートピア=理想郷という言葉を聞いたことあるかもしれませんが、
この映画はユートピアのようで、実は「チュート」に管理された本当の自由のない町。
監督自身がそれぞれが名前をなくし、「人数」に置き換えられた時、恐怖を覚えることから着想を得た映画です。
目次
映画【人数の町】原作やネタバレは?
第42回ヨコハマ映画祭にて、撮影を担当された #四宮秀俊 さんが #撮影賞 を受賞しました!
四宮さん、おめでとうございます‼️🎉https://t.co/HH7H37t4ze#人数の町 pic.twitter.com/FjmsjonlG9
— 映画『人数の町』公式 (@ninzunomachi) December 5, 2020
この原作は監督の発想から生まれています。
映画【人数の町】原作について
人が名前ではなく「人数」に置き換えられる世界。つまり今もネット社会において「いいね」で人は表現できています。
すべての世界が、個人の名前ではなく、「数」に数えられて、置き換えられていく世界を考えたとき、
監督自身はそういった世界に恐怖を覚えるといいます。そこから着想を得てこの映画の原案となりました。
なので原作はなく、荒木監督自身が原案を出し、それを監督自身が脚本に起こしたと言う形になります。
映画【人数の町】原作やネタバレは?
この「人数の町」は、衣食住は必ず保障されるが、その町から出る事は出来ない。それはこの街に入ったときに、首に埋められた物。
町に入ると住民は、戸籍がなくなり「番号」が与えられ、「デュード」と呼ばれる。そして互いに「はい、フェロー」とあいさつし、
そのあと「相手を褒める」ことをすれば、どんな会話をしても自由。食事も自由に食べられる。ただしSNSに「褒める」「ディスる」指示を遂行すると、与えられる。
そして、男女間の性交渉も自由。それを規制すると争いが起きるため。しかし、結婚や家族を持つことは許されない。
フェンスの中に入る人々は、犯罪者や、借金で苦しんでいる人を、チュートが連れてくる。そしてフェンスの中で衣食住を約束される。
その代りに、SNSのコメントを数多く入れたり、バスで外出し「選挙」に参加し、投票率を上げたりする。
つまり、衣食住を与えられる代わりに、投票率を上げる数になり、SNSの「いいね」の数になる。しかし、チュートから離れることはできない。
おそらく首に埋め込まれたのは、「骨伝導スピーカー」のような物。それを通して離れるほどに「大音量」の音楽が流れ、頭が割れるような感覚になる。
その大音量を聞くくらいなら、衣食住が保証され、軽作業をしてプールでのんびりできる日常がいい。とチュートたちはフェンスから出ようとしない。
映画【人数の町】結末について!結末の意味は?
結構入ってました。東京の最終回なんで集まってくれた感じかな。ありがとうございます。#人数の町 pic.twitter.com/bjDWn3miEc
— araki shinji (@arakingshinji) November 5, 2020
デュードには友愛のパーカーが与えられ、チュートは黄色いつなぎを着ている。
映画【人数の町】結末について!
蒼井は借金取りに追われていたが、チュートに助けられ「居場所を与える」と、バスに乗って町に連れてこられた。
この町に入るということは、「戸籍を失くす」こと。つまりもう今までの日常世界に戻っても、自分は存在しない人間となる。
しかし、そこに失踪した妹を探して「紅子」がやってきた。妹の「みどり」に再会するも、妹はこの町から出る気持ちはなかった。
この町で「家族」を持つことは許されないため、娘のももは別にある「保育施設」で育てられていた。
「紅子」は元の社会に戻ろうとしていた。蒼井は「ここにいたほうがいい」というが紅子にだんだん惹かれていき、ついにももを連れ3人で脱出をした。
しかし、チュートに町に戻されるとき「大人しく数になっておけばいい」と言われ、自分は「数だった」と気づいた蒼井は、
チュートを気絶させ車を奪った。チュートが持つ機械があれば「音楽」は聞こえない。
充電が切れかけていた機械だったが、チュートから新たな機械を奪い町を抜け出せた。
しかし、そこで分かったのは、紅子がすでに妊娠していたこと。すでに町に来る前に妊娠していたらしい。
そして戸籍もなくなっていた。病院へ行くもチュートが迎えに来た。しかし、チュートの誘いを断り、現実社会に戻ろうとする蒼井達。
そして、時が経ち紅子のお腹も大きくなったが、音楽を遮断する機械があれば何とか暮らせた。
しかし、出勤する蒼井が機械をもっていかないことに、紅子は気づいた。
結末の意味は?
結末には「友愛のパーカー」を着る男性と、チュートのつなぎを着る男性の後姿が写っていた。
そして、「人数の町」を見て、デュートに「この景色は美しくないか?」と訊ねていた。
そして、なぜ美しく見えるのか?それは「この町が自由だからだ」という、チュートは蒼井だったのだ。
つまり、戸籍を失い「人数の町」の外で生活するには、デュードをスカウトしてくるチュートになるしか方法がなかった。
しかし、チュートにはデュードでいたころのように、「自由な世界」はなかった。戸籍がないため、人間として与えられる普通の自由は得られなかった。
戸籍は「人数の町」に入ったときに失ったが、その戸籍はほかのことに利用されていたのだ。
そして、デュードたちが外で投票していたのも、「盗まれた」投票券を売買する男性から買い上げたものだった。
家族を持たせないのも、「人工中絶」や「ネットカフェ難民」の数を減らすため。すなわちデュードの生活はすべて「数」を減らしたり、増やしたりするためにあった。
まとめ
・原作はなく監督の原案が脚本化された
・「人数の町」では簡単な作業の代わりに、衣食住が保証されている
・町から脱走した者には、戸籍がないので元の生活には戻れない
・町の外で生活するには、自分がチュートになるしかない
「人数の町」では、何らかの訳ありの人たちが、数字と「はい、フェロー」というあいさつで呼び合い、
プールで交流を深めながら、おなかがすいたらSNSへの書き込みを行い、食事を与えられる。
すべてを奪われたことに気づくのは、町を脱出した者だけ。そして、町をでると「自由」を奪われていることにやっと気づく。
映画全体は淡々と進んでいくが、その中にもチュートとデュードの駆け引きがあって、静かな攻防が繰り広げられている。
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