「両親を告訴する。僕を産んだ罪で。」
この衝撃的なフレーズは、2019年7月に公開された映画「存在のない私たち」によるもの。中東の貧困と移民の問題に切り込んだ作品です。
第71回カンヌ国際映画祭でコンペティション部門審査員賞とエキュメニカル審査員賞を受賞!
第91回アカデミー賞、第76回ゴールデングローブ」でノミネートし当時話題となりました。
2020年5月18日に Blu-ray&DVDが販売されたのですが、1人でも多くの人に見てもらいたい!
今回は映画「存在のない子供たち」についてぜひ知ってもらいたいと思います。
映画『存在のない子共たち』概要
2020年7月20日(土)に公開された映画「存在のない子供たち」。予告映像はこちらになります。
予告映像を見ただけで、胸がぎゅっと締め付けられるような気持ちになります。
あらすじ
映画の主人公は12歳の少年・ゼイン。
中東のスラムで両親とたくさんの兄弟たちと共に暮らしていたゼインは学校に通うことを許されず、両親に命令され路上で物を売って暮らしていました。
ゼインにはたくさんの兄弟たちが居たが、1番仲が良かったのは11歳の妹・サハルだった。
ある日、サハルが何歳も年の離れた地主と強制結婚させられてしまう。
怒り狂ったゼインは家を飛び出すが、両親が出生届を出さなかったため身分証明書を持っておらず、身分証明証を持って居ない子供のゼインを働かせてくれるところなどなかった。
途方に暮れるゼインの前に現れたのは、赤ん坊を連れた1人の女性・ラヒルだった。
ラヒルはエチオピアから出稼ぎのためにやってきた女性で、自分が仕事に行っている間子供・ヨナスの世話をしてくれるならとゼインを一緒に住まわせてくれた。
一時の安息の場を見つけたゼインだったが、突然ラヒルは帰ってこなくなる。偽造の滞在許可証で働いていたことがバレてしまったのだ。
安息の場を見つけたと思っていたゼインだったが、さらに状況は過酷になっていく…。
映画「存在のない子供たち」のメガホンをとったのはナディーン・ラバキー監督です。監督は映画のために中東スラムを3年という長い年月をかけ取材。
自分の目で見たものをありのままに表現しました。
映画はフィクションではありますが、中東スラムでは実際に起こっていることばかり。
リアリティーを追求するため出演者のほとんどが役柄と似た境遇で育った素人であると言います。
「この映画に、俳優はいません。彼らは皆、映画の中で、自分の人生を演じています。」
ナディーン・ラバキー監督はこのように話しています。
【存在のない子共たち】ゼインという役柄は?
販売先リンク
http://www.happinet-p.com/jp3/releases/?s=%E5%AD%98%E5%9C%A8%E3%81%AE%E3%81%AA%E3%81%84
映画「存在のない子供たち」に出演するゼインは中東スラムで生まれた12歳の少年です。
本来であれば学校に通っている年齢でありながら、親の許可がなく学校に通うことができません。学校に通いたいと頼めば「弟たちが飢え死にしてもいいのか」と脅される始末…。
ゼインは兄弟たちの世話をしながら路上で物を売るなどし働いていました。
ゼインの両親はゼインが産まれたときに出生届けを提出していませんでした。そのためゼインは法的には存在すらしていません。
ゼインは子どもを産むだけ産んできちんと育てようとしない、子供を金儲けのための道具だと考えている親を訴えるために12歳という年齢で法廷に立ちます。
両親を訴えるその内容は、「僕を産んだ罪」でした。ゼインの勇気ある行動をきっかけに周囲の環境が変わっていくのです。
ゼイン・アル=ラフィーアくんプロフィール
映画「存在のない子供たち」で主人公のゼインを演じたのは、ゼイン・アル=ラフィーアくんです。
そう、役名とおなじゼインなのです。
ナディーン・ラバキー監督は「リアリティーを追求するため」に、出演者のほとんどを役柄と似た境遇で育った素人をキャスティングしました。
ゼイン・アル=ラフィーアくんはシリア生まれ。
シリアの内戦の影響でレバノンへ逃れ、10歳の頃からスーパーマーケットの配達などの仕事をして家計を助けてきました。
映画に登場するゼインと似た境遇となっています。ゼイン・アル=ラフィーアくんは映画の中で笑顔をほとんど見せません。
ネタバレになりますが、笑顔を見せるのは冒頭とラストのシーンだけ。劇中のほとんどが無表情。子供がするには辛い表情をしています。
ゼイン・アル=ラフィーアくんの演じているわけではないリアルな表情が映画にリアリティを生んでいます。
演技などツイッターの反応は?
では最後に、ゼイン・アル=ラフィーアくんの演技などツイッターの反応をみていきます。
あと子供たちの演技が本当に凄い、得に主役のゼインくんの演技の引力というか見る人を惹き付けて離さない存在感。ヨナスとの別れのシーンと面会に来た母親に吐くセリフが刺さったな...
喚くわけでも声を殺すわけでもないあの絶妙な涙の演技が忘れられない...— ま (@komekure_) August 28, 2019
「存在のない子供たち」圧巻の演技を見せたゼイン役のゼインくんをはじめ、キャストは皆俳優ではなく、実際に難民だったり映画で描かれるような過酷な暮らしに近い経験をされている方たちだそうで、その演技の素晴らしさに驚くのと同時に、だからこそ描けるリアリティがあることにも納得。すごい。
— Rea (@babyblue_rea) July 20, 2019
存在のない子供たちを観た。
ただただ辛かった。
生まれてきたことを恨むしかない人生。絶望。
これが現実だと思うと目眩がする。
あのラストは希望があると思って良いのかな。
話は辛いけど、ゼインくんの演技が凄まじく素晴らしいです。 pic.twitter.com/pjLjh1BOTw— りえ蔵 (@rie_zooooo) August 7, 2019
このようにゼインくんの演技を絶賛する声が多く投稿されていました。
が、ゼインくんが映画で見せた表情は決して演技をしたわけじゃないんですよね…。リアリティがありすぎて、見ていて辛くなるほどでした。
まだ見たことがないという人はぜひ見てほしいです。大人はもちろん、子供も。実際に今、こうしたことが起こっている国があるのです。
日本だって例外ではありません。
ゼインくんが伝えようとしたこと、そのメッセージをぜひうけとってもらいたいと思います。