ニュース番組や新聞で毎日取り上げられる「振り込め詐欺」や「還付金詐欺」は、弱者にターゲットを絞り、まるで毟り取るように大切なお金を巻き上げていきます。
近年では東南アジアに拠点を置き、そこで働かせる人材もまるで“詐欺まがい”のような方法で集めて送り出され、日本に帰る手段を絶たれて奴隷のように働かされているケースまで摘発されています。
まさに「事実は小説よりも奇なり」…現実が虚構を凌駕し始めているのです。昨年、日本全国で報告されているだけで、被害額は356億円。
さまざまな方法で注意を呼びかけ、予防策を講じておりながら根絶できないこの詐欺という犯罪には、大きな闇が隠されているのです。
今回、脚本家の安達奈緒子氏がこの詐欺をテーマに、綿密な取材を重ねて社会派のヒューマンな作品を作り上げました。
主人公の警視庁の女性刑事・今宮を演じるのはドラマや映画で大活躍の木村文乃さん。「“どうせ捕まえられない”とか、思ってんじゃねぇぞ」___と。
事実を射抜くような瞳の力を込めた素敵なお芝居を見せてくれるはずです。
ドラマ【サギデカ】とは?概要やキャストなど
作・脚本
安達奈緒子
「大切なことはすべて君が教えてくれた」
「リッチマン、プアウーマン」
「コードブルー-ドクターヘリ緊急救命」3rdシーズン・劇場版を担当。
「きのう何食べた?」で大きな話題になりました。
「透明なゆりかご」
NHKでは昨年放送のが文化庁芸術賞・大賞、ATPテレビグランプリ・ドラマ部門最優秀賞及びグランプリを受賞しています。
恋愛ものからドキュメンタリータッチの作品まで幅広いジャンルをもち、今回は「お金」をテーマに、大きな社会問題となっているさまざまな“詐欺”を掘り下げて、そこに関わる人々を描いています。
キャスト
木村文乃(今宮夏蓮)
警視庁刑事部・捜査第二課の警部補。
特殊詐欺捜査を担当し、「振り込め詐欺犯を絶対に許さない」という信念で突き進む。
華奢に見えるが、バイクが趣味でパワフルな人情派。
眞島秀和(森安真悟)
今宮の同僚・警部補。
イケメンだが、捜査方針で今宮とぶつかることもしばしば。
清水尋也(戸山祐貴)
若手刑事・巡査長。
所轄署から警視庁に配属されて間もないが、仕事はできる。
足立梨花(向井有紗)
巡査部長。
子供を育てながらの勤務なのでデスクワークが多いが、データ分析や情報収集に秀でており、大きな戦力を担っている。
遠藤憲一(手塚賢三)
係長・警部。
今宮の上司で振り込め詐欺捜査の指揮官。
鶴見辰吾(北原宗一郎)
管理官・警視。
捜査全体の流れを見ており、その方針に頭を悩ませている。
高杉真宙(名前のない男=加治颯人)
振り込め詐欺の実行犯“かけ子”だった。
恵まれない境遇からのし上がるために、犯罪に手を出してしまった。
今宮らに逮捕され、人生が大きく変わっていく。
玉木玲央(“店長”)
振り込め詐欺のアジトを仕切るリーダー。
加治たち“普通の若者”を実行犯に鍛えてきた。
長塚圭史(“番頭”)
振り込め詐欺のアジトを複数管理し、統括している冷徹な男。
香川京子(今宮しのぶ)
今宮夏蓮の祖母で、実質育ての親。
焼き鳥屋を経営している。
青木崇高(廻谷誠)
ベンチャー起業家として、現在は新薬の開発に従事している。
今宮とは趣味のバイクを通して意気投合。
泉ピン子(三島悦子)
振り込め詐欺の被害にあった主婦。
伊東四朗(北村徳治)
元高校教師。
筒井真理子(原田明美)
かつて、北村の教え子だった。
古川琴音(福田亜佐美)
クレジットカード詐欺師
ドラマ【サギデカ】原作や元ネタはあるの?
完全オリジナル作品です。
脚本家の安達奈緒子さんが独自に取材を重ねた情報をもとに物語を構築しています。
元ネタともいうべきは、実際にその特殊詐欺に関わった人間たちの証言。
警察関係者、目まぐるしく進化(?)していく詐欺の現状や被害を追い続けている取材者、
そして、残念ながらその被害にあってしまった方々の言葉を受けて、“虚構”のなかに真実に肉薄する物語を作り上げています。
ドラマ【サギデカ】内容のネタバレは?
第一話
東京では、今日も振り込め詐欺の被害が発生しています。その一つ一つを執念で潰すように捜査をしている警察官がいました。
今宮夏蓮(木村文乃)は警視庁捜査二課の警部補。
ひと一倍“詐欺”という犯罪を憎む彼女は、緻密に情報を積み重ねる捜査と、バイクという機動力を駆使して振り込め詐欺の実行犯らを一網打尽にしたのです。
手塚係長(遠藤憲一)、そして森安警部補(眞島秀和)らとともにアジトを殲滅し、実行犯である“かけ子”らを逮捕したものの___
残念ながら彼らは巨大な組織の使い捨てのパーツでしかなく、末端の一人一人はひたすらに吸い上げられて…その先のことは何も知らないという現実があったのです。
逮捕された若者たちの一人は、その名前も身元も一切の手掛かりがなく、正体がつかめないままでした。
取り調べで彼と対峙したのは今宮。男は、その振り込め詐欺の仕事は社会の役にたっているのだ、というのです。
今宮らは彼を泳がせ逃走したリーダーや組織の上層部の手掛かりを得られないか、と「突き上げ捜査」を提案し、事態は思いがけない方向に転がり始めました。
まとめ
善良な市民が、ある日突然思いがけない事件の被害者になる___特殊詐欺は決して他人事ではありません。
しかし摘発されるのは末端の「かけ子・受け子」と呼ばれる使い捨ての者ばかり。「 “どうせ捕まえられない” とか、思ってんじゃねえぞ 」
作品のキャッチコピーにあるこの叫びは、鋭い視線で見る者の心を射抜く今宮の思いそのままです。
信念と執念を背負う警察官らによって追い詰められていく振り込め詐欺犯たち。
現代の日本で、こんな無法が罷り通ってきた過去に決別すべく尽力する人々の姿を描く本作は、市井の人々、そして犯罪に手を染めていく若者らへの熱いメッセージなのです。